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第19話 あの子を思い出す

last update publish date: 2026-07-10 14:02:58

 ※

 ネロペイン帝国から自国へ帰る途中、胸の痛みと睡眠不足にイアンは苛まれた。

 イアンは国へ着いたその足で医者の元へ診察に行ったものの──診断の結果「健康そのもの」「むしろ健康過ぎる」とまで言われた後に、医者から鎮痛剤と睡眠薬を処方された。

(薬に頼るのは正直癪だ)

 十七年生きてきて風邪一つ罹った事がないイアンは、医者から健康だと太鼓判を押された身体に薬を投与したくはなかった。胸の痛みは、指に刺さった針の痛みのようにすぐに過ぎ去るものだったし、我慢すれば良いと己で判断をした。しかし睡眠は違う。充分に睡眠をとらなければ任務に支障をきたし、判断力も鈍ってしまう。だからイアンは──身体を鍛える事にした。身体が疲れれば、眠りに落ちやすいだろうと考えたのだ。本部に設置されたトレーニングジムでひたすら己の肉体と精神を鍛え続けた。結果は──強靭な肉体を手に入れ、体脂肪率が下がり、今以上に疲れを知らない男となってしまった。どんなに身体を動かした所で眠気が襲ってこないのである。

 そもそもイアンは、有り余

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